内部統制のデジタル化にはワークフローシステム導入がおすすめ!メリットについて解説

企業が経営目標の達成を目指し、法令を遵守しながら事業を健全に、そして効率的に運営していくには「内部統制」が欠かせません。
しかし近年、業務のデジタル化・IT化が進むにつれ、内部統制は新たな局面を迎えています。急速に進むIT化に内部統制を対応できず、頭を抱えている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、内部統制とデジタル化の課題、その対応策まで紹介します。内部統制をデジタル対応させたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

「内部統制」とは

そもそも 内部統制とは、企業が適正かつ健全な事業活動を継続できるよう、雇用形態に関わらない全従業員が守るべき企業のルールや制度、仕組みのことを指します。
この内部統制がきちんと機能していない場合、さまざまなリスクが起こり得ます。たとえば、自社の商品における不正販売や個人情報の漏えいなどです。万が一、内部統制が進んでいないなかでこれらの問題が起きた場合、責任はすべて経営者が背負わなければなりません。これを防ぐのが、内部統制の役割です。
またこの内部統制は、すべての上場企業とその関連企業において実施が義務付けられています。それを義務付けているのがJ-SOX法(金融商品取引法)です。このJ-SOX法は、アメリカのSOX法をもとにして作られました。具体的には、内部統制報告書や内部統制監査報告書の提出を義務付けています。

このように、内部統制は企業が経営していくために欠かせない要素のひとつといっても過言ではありません。しかし、ただルールを伝えて取り締まるだけではうまく統制されないことでしょう。大切なのは、内部統制を実施する目的を従業員全員が理解し、運用することです。

内部統制って?目的や構成要素、おこなうメリットまで解説!

内部統制を強化する4つの目的

では、内部統制の目的やメリットとはいったいなんなのでしょうか。内部統制は、企業において不正や情報漏えいが起きないようにするためだけのものではありません。内部統制を強化することにより、企業にはさまざまなメリットがあります。ここでは、金融庁が発表している資料を参考に、内部統制強化の4つの目的を紹介します。

内部統制を強化する4つの目的

1.業務の有効性及び効率性

内部統制には、業務の有効性及び効率性を高めるという目的があります。企業が成長し、より大きな売り上げを出すには、業務の目的達成率を高め、時間や人員、コストなどを合理的に使用する必要があります。そのためには、業務ごとに、これらを測定・評価するための制度を設けることが大切です。
内部統制において、この制度を設けることにより業務を通して達成度や効率を測定しながら、業務の改善ができます。その結果、業務をより有効的かつ効率的に進められるのです。

2.財務報告の信頼性

内部統制は、財務報告の信頼性を高めるのにも役立ちます。財務報告は、企業の内側の人間だけでなく、外側の人間からも活動実態を確認するために、非常に大切な情報です。正確な報告は企業の信頼性を高めますが、万が一誤った報告をしてしまうと利害関係者に損害を与えることとなり、企業に対する信頼性が低くなってしまいます。
内部統制では誤った財務報告をしないよう、必要な体制の整備・運用を制度化することにより、報告の信頼性を高めます。

3.事業活動に関わる法令等の遵守

内部統制の実施は、法令などの遵守にもつながります。
そもそも企業の活動は、法令や基準、規範を守った範囲内でおこなわなければなりません。もしこれらを無視した活動をした場合は、企業の存続が危うくなる恐れがあります。
内部統制では、企業が活動するうえで守らなければならない法令や基準、規範を遵守できるように体制を整備します。体制を整えることで、社員一人ひとりの意識も変わっていくでしょう。

4.資産の保全

内部統制は、企業の大切な資産を適切に取得し、正しい手順で使用・処分することにもつながります。資産とは企業の業務活動において日々使用されている車両、機械、備品、パソコンなどにあたります。資産を正しくない方法で取得したり、不正使用されたりした場合、企業は金銭的にも社会的にもダメージを受けます。それを防ぐためには、資産の取得、使用、処分について、適切なフロー(手続きや承認)を経るように制度や仕組みを整えなければなりません。
内部統制によってその仕組みができれば、資産の不正使用などが減り、資産を安全に保全できます。

このように、内部統制には4つの目的があります。企業で内部統制を実施する際はこの4つの目的を従業員に周知し、全員が企業のため、ひいては自分のために必要なものだとひとりひとりが理解することが重要です。

内部統制のデジタル化の必要性

財務計算書や内部統制報告書を監査する立場にある日本公認会計士協会のIT委員会は、2021年7月に「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応(提言)」を公表しました。これは、リモートワークが多くの企業に導入され定着し、今後も継続していくと予測されるのを受け、業務プロセスや内部統制などの監査における課題を洗い出し、対応方法をまとめたものです。それによると、リモートワークに積極的に取り組み支障なく実施できた企業には、次の特徴が見られたそうです。

  • 新型コロナウィルス感染症拡大より前から、業務プロセスの電子化を進めていた
  • 証憑類をPDF化するなどデジタル化が進んでいた

一方リモートワークを実施せず出社していた原因として、回答した企業のうち約50%が以下の理由を挙げています。

  • 書類を紙で管理していた
  • 伝票や各書類に押印が必要だった
  • 請求書の支払いをおこなえるシステムを導入していなかった

調査結果からは、リモートワークを円滑に進めるためには業務プロセスをデジタル化することの重要性が読み取れます。しかしその一方、内部統制に関しては、リモートワークに際しても「変更しない」「あまり変更しない」とした企業が83%にもおよんでいます。
たとえば紙の管理からPDF管理に変更したとしても、タイムスタンプを利用するといった、新たなリスク評価や対応する内部統制を構築している企業は少ないのが現状です。これはリモートワークの導入に際し、PDF変換といったデジタイゼーションがおこなわれている企業であっても、内部統制の見直しは進んでいないことを意味します。

また、リモートワークの導入により、業務処理の遅延はもちろん情報漏えいリスク、内部統制の形骸化などに課題を感じている企業も多いようです。書類を紙での管理からデジタルデータ化する際には、内部統制もあわせてデジタルに対応するよう見直さなければ、バランスを欠く結果になりかねません。
しかし、デジタル化における内部統制にはさまざまな課題があります。次章で詳しく説明します。

内部統制システムとは?目的や基本方針を徹底解説

内部統制デジタル化の課題

デジタルトランスフォーメーショ(DX)が声高に叫ばれデジタル化が進むなか、内部統制は以下のような課題を抱えています。

  1. DXを起因としたシステムの入れ替えなどがおこなわれた結果、それに対応するコントロールが増えた
  2. 内部統制が毎年見直されることなく過年度の踏襲となっていて、デジタル化が進むなか実態にあったリスク対応ができていない
  3. 対処するリスクに優先順位を付ける
  4. DXや業務内容の変化などに応じて3点セットを更新し続ける必要があるが、エクセルやスプレッドシートでの管理には限界がある

DXは今や企業の生き残りをかけた命題のひとつです。激しい市場競争で優位性を保つためには、今後もDXを促進するために業務を効率化・迅速化していかなければなりません。しかしDX促進に向けデジタル化・IT化を進めれば進めるほど、それにともない新たなコントロールが増え続けます。DXを進めると同時に、リスク評価と内部統制もあわせて迅速に更新していく必要があるのです。

そしてそれにあわせて都度業務フローを見直し、コントロールの重要度を高める・下げるといった対応も必須です。対応せずにいると、内部統制が実態にそぐわないものとなり形骸化しかねません。
そのように環境の変化にあわせて内部統制を更新・改善し続けることを、手動でおこなうのは困難です。迅速に対応していくためには、内部統制に適したシステムやJ-SOXの管理をおこなえるシステムの導入を検討する必要があります。たとえば内部統制の整備や運用を適切におこなうなら、ワークフローシステムを導入すると効果的です。業務フローや環境の変化に簡単に対応できる体制を、平行して整えることが重要なのです。

内部統制の強化に有効な「ワークフローシステム」

従業員が内部統制の目的を理解したうえで、さらにスムーズに内部統制を実施・強化するには、ワークフローシステムの導入がおすすめです。では、ワークフローシステムとはいったいどのようなツールなのでしょうか?
ワークフローシステムとは、業務において、決裁や稟議書などの申請・承認をおこなうためのツールです。申請・承認をツール上でおこなえるため、紙の申請書を使用するよりも業務の効率化が図れます。それに加えて、システム上で申請・承認の流れを可視化できるのもワークフローシステムの特徴のひとつです。

ワークフローシステムがあると、申請は正しい手順を踏まなければ承認されません。そのため、適切なフローで処理や承認が行われることで、不正の発生リスクを減らせます。その結果、ワークフローシステムは内部統制の強化にも役立つのです。

内部統制におけるワークフローシステム導入メリット

ワークフローシステムは、企業における業務の流れを明確化できるうえに、業務の可視化ができ、内部統制の強化に役立ちます。以下では、ワークフローシステムが内部統制構築にどのように役立つのかを詳しく解説します。

ワークフローシステム導入メリット

申請・承認のルールづくり

ワークフローシステムの導入にあたり、システム化対象となる申請書の選定、各申請書の承認ルートの明確化、利用者の権限設定などをおこなう必要があります。そのプロセスにおいて、今まで曖昧になっていた社内ルールを明確にすべく、経営層との議論も経ながら、社内規定をよりあるべき姿に整理していくことができます。
しかし申請・承認のルールづくりをするときには、現在の状況とよく照らし合わせて、慎重におこなわなければなりません。特に紙の申請書を利用している場合、関係者への根回しや組織上の暗黙の了解、状況に合わせた柔軟な対応を許可していたことを洗い出した上で、きちんと明文化・整理してデジタルに落とし込む必要があります。実務担当者にヒアリングをし、業務上不可欠なものを整理して優先度をつけ、ワークフローシステムに落とし込んでいきましょう。
申請・承認のルールづくりに欠かせない「業務整理の3つのポイント」はこちら

しかし、どんなに業務に関するフローを整理・関係者と調整した場合でも、すべての人にヒアリングをすることは難しく、イレギュラーパターンも含めてすべてのフローをデジタル化することは難しいため、運用開始後に必ず改善要望が現場から上がることを想定する必要があります。複雑な稟議・決裁などの承認ルートを簡単に実現できること以外にも利用開始後や業務の変化に合わせて現場の声をスピーディに反映できることもワークフローシステム選定の大事なポイントです。

承認・操作履歴が適切に残る

紙の申請では、ワークフローがいつ、どうやって承認されたかが明確に残らず、記憶に頼るところとなってしまいます。これでは内部統制ができているとはいえないでしょう。
ワークフローシステムなら、「だれが」「いつ」「なんの」申請・承認がどのようにおこなわれたのかという証跡が、データとして記録されます。この履歴をもとに、承認や操作が適切だったかどうかを確認できるため、不正業務の抑止やヒューマンエラーの防止につながり、内部統制がきちんとおこなえます。

監査の対応がスムーズ

監査の対応をするために、過去の申請書が必要になることもあるでしょう。もし紙の申請書を利用している場合は、過去の申請書を保存している書棚などから探さなければならず、手間がかかります。
しかし、ワークフローシステムなら、申請日・申請者・申請内容などで、過去の申請書を検索できます。監査もすぐに対応でき、コンプライアンスの強化にもつながるでしょう。

内部統制のデジタル化事例

バンダイナムコホールディングスでは、2013年からグループ全体における内部統制用の文書を「SmartDB」で保存・管理されています。
年間3000~5000も発生する文書をデジタル化し管理するため、2009年に別のシステムを導入するも、利用するシステムが複数に分断されておりユーザーの利用負荷は高く、文書の検索性も悪いなど、多くの課題を抱えていました。
また、システムごとに個別にIDを管理する必要があったことや、ユーザーの権限管理にも手間がかかるたため、ユーザー登録作業に20分も時間がかかっていたことも課題でした。

2012年にシステムの見直しに踏み切り、開発の簡易性とカバー範囲の広さ、権限管理や検索性の柔軟さも兼ね備えた「SmartDB」の導入を決定。二重管理されていた情報は「SmartDB」上で一元管理できるようになり、ユーザーの使いやすさは大幅に向上。旧システムでは20分かかっていたユーザー登録作業も、所要時間30秒まで短縮され管理者の作業時間も大幅に削減されました。

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内部統制に関わる文書管理システムの導入で業務を効率化

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多くのグループ会社を統括するバンダイナムコホールディングスが取り組んだ内部統制のデジタル化事例です。「SmartDB」を使うことで内部統制に関わる業務がどう変わったのか、詳しくご紹介します。

ワークフローシステムの検討なら「SmartDB」

ワークフローツールと一言で言ってもさまざまです。たとえば法令や社内規約の変更に合わせてフローの改修がしにくいまたは、できないようなツールを導入してしまうと、法令や社内規約が変更された際に業務アプリの改修が追いつかず、システムを使えなくなるかもしれません。最悪の場合アナログな業務フローに逆戻りになってしまうなどの可能性もあります。
複雑なフロー設計とアプリ開発のしやすさなら、ドリーム・アーツの「SmartDB」がおすすめです。非常に柔軟なワークフロー機能とWebデータベース機能を持ち合わせた大企業向け業務デジタル化クラウドで、業務アプリ開発の簡易性にも優れています。法令や社内規約の変更にあわせて速やかな業務アプリの改修も可能です。

「SmartDB」で業務効率化した場合のメリットをご紹介します。

  • 柔軟なワークフロー機能で複雑な組織構造も考慮した業務フローが設計できる。
  • ノーコードで開発可能なため、役割を担う管理部門の担当者がフローを設計・開発できる。
  • 証跡、変更履歴の記録機能で情報の改ざんも防止
  • 全社が関連する業務だけでなく、部門個別の業務の効率化もカバーできる。

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大企業における業務デジタル化の課題と、その解決策として「SmartDB」で、どのように業務デジタル化を実現できるのかをご紹介する資料をまとめました。ぜひご覧ください。

まとめ

「SmartDB」は、文書管理機能とワークフロー機能により、紙の申請書をデジタル化して業務の効率化を実現するだけでなく、証跡の管理や関連文書の検索性などによって内部統制の強化にも貢献します。標準機能で複雑な条件分岐、内部統制・監査を支える証跡管理が可能であり、ほぼ設定操作のみで現場部門自らが‟すばやくカンタン”に業務デジタル化できます。ワークフロー機能以外にも入力情報を標準化するフォーム作成機能、業務データ管理や分析をおこなうWebデータベース機能、活発なコラボが生まれるコミュニケーション機能などがあり、稟議・決裁や申請業務以外のさまざまな業務のデジタル化も実現します。
興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

マーケティンググループ ホシ

この記事の執筆者:ホシ (プロモーショングループ)

新卒でドリーム・アーツへ入社
お客様のサービス利用立ち上げ支援を行う部門からマーケティング部へ異動
専門知識がない方にも分かりやすく、サクッと読み進められる記事を書いていく